アスベストの分析手法について

国内で規制対象となっているクリソタイル、クロシドライトなど全6種類 のアスベストを 分析対象物質と しています。
定性分析ではアスベストの有無を 判断し、定量分析では その 含有率を測定して アスベスト 含有 有無の基準 である 「 0.1% 」に該当するかどうかを判定します。

分析項目 分析対象物質 規格 分析手法
定性分析 クリソタイル、クロシドライト、
アモサイト、アクチノライト、
アンソフィライト、トレモライト
JIS A 1481-1 偏光顕微鏡
JIS A 1481-2 X線回折分析
位相差・分散顕微鏡
定量分析 JIS A 1481-3 X線回折分析
(基底標準吸収補正法)

※スマホ閲覧の場合、表は右にスクロールできます。

X 線回折

物質固有の結晶構造を調べることでアスベスト 含有 の 有無 を調べます 。 試料に X 線を照射すると、構成原子によって X 線が散乱します。
散乱された X 線は強めあったり弱めあったり 干渉します(X 線回折) 。
試料に対する X 線の入射角度を変えながら 回折 X 線の強度を記録すると、物質固有の回折パターンを示すため 物質を同定することができます。 また、 回折X線強度から 、 アスベストが どの程度 含まれるのか(定量分析)が分かります。

X線回折測定例 (イメージ図)

分析試料の主要なX 線回折ピークがクリソタイルのピークと一致していることか、分析試料にはクリソタイルが含有していることがわかります 。

クリソタイル(標準物質)の X 線回折パターン

分析試料の X 線回折パターン

位相差・分散顕微鏡

位相差・分散 顕微鏡を用いた分散染色法 により物質の光学的性質(屈折率)を調べることでアスベト 含有 の 有無を判断します。
分散染色法では、試料を特定の屈折率の液体に浸して顕微鏡観察することで、特徴的な色の変化(分散色)としてアスベストを判別することができます。

位相差顕微鏡による観察例
(クリソタイル)

偏光顕微鏡

アスベストが偏光に対して特有の光学的性質を示すことを利用して アスベストの含有の有無を判断します。
偏光顕微鏡では、 複数の光学的特長(消光角、伸長性の正負、多色性 、分散色)などからアスベストを判別することができます。
正確かつ迅速に分析することが可能ですが、熟練した技術が必要となります。

偏光顕微鏡による観察例(クリソタイル)

屈折率=1.550 、倍率 =400 倍

屈折率 =1.550 、倍率 =400 倍
(鋭敏色板挿入)

【保有資格】
作業環境測定士、環境計量士、クロスチェックA ランク (日本作業環境測定協会)
石綿含有建材調査者、アスベスト診断士